骨粗鬆症とは
骨粗鬆症を一言に言えば、何らかの原因によって骨が弱くなってしまい、骨折しやすくなる病気のことです。
骨は主にカルシウムとコラーゲンでできています。骨を鉄筋コンクリートの建物に例えると、外側のコンクリートがカルシウムに、中を支える鉄筋がコラーゲンになります。
よく耳にする「骨密度」とは、外側のコンクリートの強さを数値化したものです。頑丈な建物(折れにくい骨)には強いコンクリートだけでなく、質の良い鉄筋が必要になります。この2つがしっかり組み合わさらないと丈夫な骨にはなりません。外側のコンクリートだけが丈夫でも、鉄筋の質(骨質)が悪いと全体としてもろくなってしまいます。つまり骨折しにくい丈夫な骨には骨密度だけでなく骨質にも着目する必要があります。ちなみに骨の強度については骨密度が7割程度、骨質が3割程度関係すると言われています。骨質の劣化をもたらす原因として、糖尿病などの生活習慣病や飲酒、喫煙、ステロイド薬、関節リウマチなどが挙げられます。骨粗鬆症発症の原因については、大きく原発性骨粗鬆症と続発性骨粗鬆症に分類されます。
原発性骨粗鬆症
原因とされる特定の病気などはなく、閉経や加齢が引き金となって発症する骨粗鬆症です。骨は皮膚や髪の毛と同じように新陳代謝を繰り返しており、破骨細胞により少しずつ溶かされ(骨吸収)、また骨芽細胞により新たに作られ(骨形成)ています。
女性は、主に更年期(45~55歳)の世代になると閉経を迎え、女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が急速に低下します。エストロゲンには、破骨細胞を抑制する働きがあるのですが、エストロゲンが減ると破骨細胞の働きが活発になってしまいます。このため破骨細胞と骨芽細胞とのバランスが崩れ、骨吸収がどんどん進むようになります。その結果、骨がスカスカになり、骨折のリスクが高い状態になってしまいます。これは閉経後骨粗鬆症とよばれます。
また女性男性関係なく、年をとるようになると腎臓や腸管の機能は低下していくようになります。これによってカルシウムを吸収する能力も弱まるなどして骨密度が低下していくなどすることで発症することもあります。
このほか、若い世代の方でも無理なダイエットや偏食など栄養バランスの偏りが原因で発症することもあれば、遺伝的要因によって引き起こされることもあります。ちなみに日本人の全骨粗鬆症患者様の9割程度が原発性骨粗鬆症で、男女比は1:3です。
続発性骨粗鬆症
病気や薬剤を使用することで発症する骨粗鬆症のことを言います。原因となる病気とは、関節リウマチ、内分泌疾患(副甲状腺機能亢進症、クッシング症候群 等)、糖尿病などがあるほか、ステロイドの長期使用などの薬剤の副作用によって発症するケースもあります。
主な症状
よくみられる症状ですが、骨の強度が弱くなるにつれて、はっきりわかる自覚症状というのはみられません。ただ、わずかな衝撃でも骨が折れてしまう、あるいは骨が体の重さに耐えられなくなって圧迫骨折を起こし、背中や腰が痛むといったことで気づくようになります。なお骨粗鬆症の発症によって骨折しやすい部位とは、手首、脊椎(背骨)、大腿骨近位部(太ももの付け根)、上腕骨近位端(腕の付け根)、肋骨、骨盤、脛骨などです。ちなみに太もも付け根の骨折、脊椎の圧迫骨折では、寝たきりになってしまうこともあります。
検査について
患者様の訴えや症状などから骨粗鬆症が疑われる場合、当院では骨密度検査によって診断をつけます(骨質は評価するのは現時点では難しいです)。同検査には種類がいくつかありますが、当院はその中でもDXA法(二重エネルギーX線吸収測定法)と呼ばれる2種類の異なるエネルギーのX線を照射することで骨密度を測定する手法を用います(被ばく量は胸部レントゲン撮影の10分の1程度です)。この場合、全身の骨密度を測定することもできますが、多くの医療機関が行っているのと同様に腰椎と大腿骨近位部の2つの部位にのみ照射し、測定していきます。
その結果、それぞれの部位の測定値がYAM値(20代~40代前半の成人の骨密度の平均値)の70%未満(脆弱性骨折がない場合)の数値となると骨粗鬆症と診断されます。
治療について
骨粗鬆症は骨の生活習慣病とも言われる病気ですので、日頃のライフスタイルを見直すことも大切です。治療の目的は脆弱化した骨を丈夫にしていくことですが、そのためには薬物療法だけでなく、食事療法や運動療法も欠かせません。
食事療法では、骨を形成するのに役立つとされるカルシウム(乳製品、大豆製品、小魚、小松菜、チンゲン菜、ひじきやワカメなどの海藻類 等)、ビタミンD(干ししいたけやきくらげのきのこ類、サケ・サンマ・カレイ・しらす干しなどの魚類 等)やビタミンK(モロヘイヤ、ほうれん草、ブロッコリーなどの野菜類、納豆、鶏もも肉 等)を多く含む食品を摂取していきます。このほかタンパク質も不足しないようにしてください。
また骨に対して常に負荷をかけていくというのも丈夫にするための秘訣です。そのためには運動習慣をつけてください。ご高齢の方、運動に慣れていない方はまずはウォーキングから始めてみてください。
さらに、これらと共に薬物療法も併せて行うわけですが、この場合は骨吸収を抑制する薬、骨形成を促進させる薬、食事だけでは不足してしまう栄養分を補充する薬が用いられます。
骨吸収抑制薬としては、ビスホスホネート(内服、点滴、皮下注射)、SERM(内服)、抗RANKL抗体(皮下注射)があります。また骨形成促進薬には、PTH製剤(自己注射、皮下注射)、抗スクレロスチン抗体(皮下注射)があります。このほか栄養素を補給する薬として、カルシウム製剤やビタミンD製剤を内服することもあります。
奈良市の骨粗しょう症検診
当院は奈良市の骨粗しょう症検診の登録医療機関です。奈良市では、40歳~70歳の女性を対象に、5年毎に骨粗鬆しょう検診を実施しています。奈良市から負担金が記載された受診ハガキが送付された方を対象に、問診とDXA法による腰椎・大腿骨近位部の骨密度を測定いたします。対象となる方は、お電話にてご予約いただいた上で、受診の際は郵送された受診票と健康保険証をご持参ください。
費用1,200円
生活保護世帯・市区町村民税非課税世帯(世帯員全員が非課税):無料
- クリニック名
- 西大寺駅前 内科・リウマチクリニック
- 院長
- 廣岡靖章
- 診療内容
- 内科、リウマチ科、膠原病内科、アレルギー科
- TEL
- 0742-53-3200
- 住所
- 〒631-0824
奈良県奈良市西大寺南町5番29号
大和西大寺駅前第二ビル1階 - 最寄駅
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診療時間 (受付時間) |
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9:00~12:00 (8:55~11:45) |
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14:00~18:00 (13:55~17:45) |
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