膠原病とは

膠原病のイメージ画像

膠原病とは一つの病気ではなく、全身の皮膚・血管・関節・内臓などに炎症を起こす病気の総称です。「膠原」は膠原繊維(コラーゲン)に由来しています。膠原繊維は、細胞と細胞をつないでいる結合組織を構成するタンパク質です。1942年にアメリカのポール・クレンペラー博士が、膠原繊維が変性して引き起こされる病気を膠原病と名付けました。この古典的膠原病には、全身性エリテマトーデス、リウマチ熱、強皮症、多発性筋炎・皮膚筋炎、結節性多発性動脈周囲炎、関節リウマチの6つの疾患が含まれていました。リウマチ熱は溶連菌の感染症であることが判明し、現在は膠原病の中には含まれません。当初は病理組織学的な側面からみた考え方でしたが、さまざまな知見が加わり、現在は膠原病とその類縁疾患として多くの病気が含まれています(表)。

  • 関節リウマチ
  • 全身性エリテマトーデス
  • シェーグレン症候群
  • 全身性強皮症
  • 多発筋炎/皮膚筋炎
  • 混合性結合組織病
  • オーバーラップ症候群
  • 抗リン脂質抗体症候群
  • 高安動脈炎
  • 巨細胞性動脈炎
  • 結節性多発動脈炎
  • 顕微鏡的多発血管炎
  • 多発血管炎性肉芽腫症
  • 好酸球性多発血管炎性肉芽腫性
  • lgA血管炎
  • リウマチ性多発筋痛症
  • RS3PE症候群
  • 強直性脊椎炎
  • 乾癬性関節炎
  • 反応性関節炎
  • 炎症性腸疾患に伴う関節炎
  • 掌蹠膿疱症性関節炎
  • 成人発症スチル病
  • ベーチェット病
  • IgG4連疾患 など
膠原病は以下の特徴をあわせ持つ疾患群です。 リウマチ性疾患…筋・骨格系に痛みが出る疾患 自己免疫疾患…自己免疫現象が関連する疾患 結合組織疾患…細胞間の結合組織に異常をきたす疾患

膠原病は、関節・骨・筋肉などにリウマチのような痛みを起こすことから「リウマチ性疾患」と呼ばれることがあります。また、免疫の異常が関与することから「自己免疫疾患」とも呼ばれます。本来、免疫とは細菌やウイルスなどの外敵から自分を守るシステムですが、膠原病では自分自身の組織を過剰に攻撃してしまいます。膠原病は、免疫の異常によって、結合組織に炎症が引き起こされ、体が痛む、という特徴をもった病気と言えます(図)。

膠原病では自己を異物と認識して反応する異常なリンパ球や自己抗体が病気の成り立ちに関係しています。これらの異常なリンパ球や自己抗体を抑える治療として、ステロイド薬や免疫抑制薬が使用されます。

こんな症状があればご相談ください。

膠原病では様々な症状がみられます。下記のような症状がある場合はご相談ください。

  • 関節痛
  • 筋肉痛
  • レイノー現象:冷たいものに触れると指先の血管が収縮し、指先が最初白くなり、次に紫、暖めると赤くなって元に戻る症状です。
  • 皮疹
  • 口内炎
  • 目や口の乾燥

症状から膠原病が疑われる場合は、血液検査・尿検査・画像検査などを適宜行い、専門医が総合的に判断します。

膠原病は完全に治すことは難しいですが、多くの場合、早期に適切な治療を行うことで普通の生活を取り戻すことも十分可能です。重要な臓器にダメージがある時や、病気の勢いが強い時などは、大学病院などの大きな病院で治療を受けていただくことが望ましい場合があります。その際は速やかに関連病院を紹介させていただきます(主に生駒市の近畿大学奈良病院に紹介しております)。膠原病は長期にわたる治療が必要ですが、ずっと遠くの大きな病院に通院するのはしんどいという患者様もおられると思います。大きな病院で治療を受け、病状がある程度安定したあとは、身近なクリニックで治療を引き継ぐことも可能です。当院では皆様が笑顔で日常生活を送れるよう、大学病院での診療経験も豊富なリウマチ専門医が手助けいたします。

各疾患について

全身性エリテマトーデス(SLE)

英語ではsystemic lupus erythematosusといい、頭文字をとってSLEと呼ばれます。若い女性に好発します。もともとSLEになりやすい体質(遺伝的要因)を背景として、紫外線、ウイルス感染、喫煙、薬剤、ストレスなどの環境因子が加わって発症すると考えられています。

SLEの症状

その名の通り、この病気は全身のさまざまな部分に、多彩な症状を引き起こします。

  1. 全身症状:発熱、体のだるさなどが現れます。
  2. 皮膚・粘膜の症状:頬に出る赤い皮疹は蝶が羽を広げている形をしているので、蝶型紅斑と呼ばれます。紫外線に当たると赤い皮疹、水膨れ、あるいは熱が出る人がいます。これは光線過敏症といいます。そのほか、口内炎ができる、髪の毛が抜けやすくなることがあります。
  3. 関節の症状:関節に炎症が起こり、腫れて痛みを引き起こします。
  4. 腎臓の症状:腎臓に炎症が起きると尿に蛋白が漏れ出てしまいます。血液中の蛋白が少なくなってしまうと体がむくみやすくなります。
  5. 神経・精神症状:うつ状態、妄想、けいれん、脳血管障害などが現れます。
  6. その他:心臓や肺のまわりに水がたまり、胸痛が起こります。貧血、白血球減少、血小板減少といった血液の異常が現れます。

SLEの治療

炎症や免疫を抑えるためにステロイド薬が使用されます。効果が不十分な場合は免疫抑制薬が併用されます。近年は抗マラリア薬であるプラケニル(一般名:ヒドロキシクロロキン)の積極的な使用が治療ガイドラインで推奨されています。網膜症という目の副作用に注意が必要であるため、最低年1回の眼科検査が必要です。また新しい薬として、SLEの病態に関わる、Bリンパ球刺激因子(BLyS)を標的とした完全ヒト型モノクローナル抗体(べリムマブ)も使用できるようになりました。最近の治療の動向として、プラケニルなどの薬を上手に使って、ステロイドの量をできるだけ少なくする治療が推奨されています。

シェーグレン症候群

シェーグレン症候群は唾液腺や涙腺などの外分泌腺に炎症を生じ、唾液や涙が少なくなり口や目の乾燥が引き起こされる病気です。これらの乾燥症状だけでなく、微熱、倦怠感、リンパ節腫脹、関節痛、皮膚症状などの症状も起こります。多くの場合は乾燥症状に対する対症療法が中心となります。

全身性強皮症

皮膚や内臓が線維化を起こして硬くなる原因不明の病気です。初発症状としてレイノー症状が高頻度でみられ、その後皮膚の硬化が、手足の指から体の中心部へと進行します。間質性肺疾患、心筋障害、消化管障害、腎機能障害などの臓器障害を起こすことがあります。急に皮膚の硬化が進む症例もありますが、多くはゆるやかに、あるいは進行しない症例もあります。
強皮症ではステロイドは特効薬ではなく、症状や臓器合併症に応じた治療が行われます。近年、全身性強皮症に伴う間質性肺疾患に対して進行を抑える抗線維化薬が使用できるようになりました。また、全身性強皮症の発症と進展に重要な役割を果たしているB細胞(Bリンパ球)を除去する薬剤であるリツキシマブが新たな治療薬として承認され、有効性が期待されています。

多発性筋炎/皮膚筋炎

筋肉に炎症が起こり、だるさ、筋肉痛、筋力低下などの症状が出る病気です。痛んだりする病気です。皮膚症状を伴う場合は皮膚筋炎と呼ばれます。手の甲側、肘、膝の皮膚にカサカサとした赤い皮疹(ゴットロン徴候)、上まぶたの腫れぼったい紅斑(ヘリオトロープ疹)は皮膚筋炎に特徴的な皮膚症状です。筋肉の症状は体の中心に近いところ(二の腕や太ももなど)から始まります。注意すべき合併症として間質性肺炎と悪性腫瘍があります。間質性肺炎は普通の肺炎のように細菌が原因ではなく、自己免疫が肺を攻撃して起こります。間質性肺炎の中には急速に進行する重症なタイプがあり、その場合は早急に入院し強力な免疫抑制治療を受ける必要があります。悪性腫瘍の合併は特に皮膚筋炎で多く、治療の前には悪性腫瘍が隠れていないかしっかりと調べる必要があります。多発性筋炎/皮膚筋炎の治療はステロイド薬を中心に、適宜免疫抑制薬が併用されます。

混合性結合組織病

上記のSLE、強皮症、多発性筋炎の特徴を併せ持った病気です。レイノー現象がよくみられます。また、指から手の甲にかけて腫れぼったくなります。SLE、強皮症、多発性筋炎の、どの特徴が前面に現れてくるかで症状が異なります。治療はステロイド薬を中心に、適宜免疫抑制薬が併用されます。

血管炎症候群

血管炎症候群は血管の壁に炎症がおきる病気のグループです。高安動脈炎、巨細胞性動脈炎、結節性多発動脈炎、ANCA関連血管炎(多発血管炎性肉芽腫症、顕微鏡的多発血管炎、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症)などがあります。体内での炎症を反映して、熱、だるさ、体重減少といった症状がみられます。ほかにも、血管は全身のあらゆる場所に走っているため、炎症がおこる部分や血管の太さによって様々な症状が現れます。治療にはステロイド薬や免疫抑制薬が用いられますが、病気の種類によって治療は異なります。

西大寺駅前 内科・リウマチクリニック
クリニック名
西大寺駅前 内科・リウマチクリニック
院長
廣岡靖章
診療内容
内科、リウマチ科、膠原病内科、アレルギー科
TEL
0742-53-3200
住所
〒631-0824
奈良県奈良市西大寺南町5番29号
大和西大寺駅前第二ビル1階
最寄駅
近鉄大和西大寺駅 徒歩2分
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※木曜日は近畿大学奈良病院での診察のため休診となります
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